天然物は身質がしっかりし脂分が薄目、マグロ本来の上品な旨さが味わえます。
養殖物は本マグロ、ミナミマグロ(インドマグロ)が主でいけすの中で十分な餌を与えて育て上げられるため、「とろ」部分が多くトロ好きにはもってこいのマグロとなります。
その分天然物に比べ身質は柔らかめで色変わりが早いです。
近年餌の研究が進みこれらの欠点も徐々に改良されていっています。
30年位前に和歌山県串本近畿大学水産試験場がクロマグロ(本マグロ)の畜養を手がけてから、あっという間に全世界にまぐろの畜養が広がりました。
「畜養」というのはまぐろの稚魚をとってきていけすの中で大きく育てることをさしますが、一般的には養殖、畜養の区別がはっきりされておらず総称して「養殖」といわれることが多いです。
最近では近畿大学水産試験場でいけす内で産卵孵化させ、育て上げたそのまぐろにまた産卵させるという「完全養殖」に成功しました。
天然物は世界各地遠洋漁業により捕獲されていますが、自然界の荒波にもまれ生き抜いてきた分、身質がしっかり、身の色も赤黒く本来のまぐろの色です。今でもマグロの水揚げ量のほとんどは赤み主体の天然のメバチ、キハダマグロがしめています。
養殖物は本マグロ、ミナミマグロ(インドマグロ)が主体で日本国内では和歌山県串本、奄美大島などが養殖本マグロの主生産地です。四国、日本海沿岸でも養殖が始まっています。
地中海沿岸(スペイン、イタリア)、メキシコ湾では大西洋クロマグロ、オーストラリアではミナミマグロの養殖が盛んで日本国内にも大量に輸入されています。
天然物クロマグロ、ミナミマグロの漁獲高が激減し、いわゆる「とろ」部分の多い良質のマグロが激減している昨今、脂ののった養殖マグロの台頭はマグロ業界の「とろ」の救世主となっています。